Roots Lab.編集部のSky Handです。
今年は、VR/MRが来る!(と近年毎年言われていますが)ということで、一回くらい真面目に勉強してみようと思い、関連イベントに参加してみましたので、今回も爆速レポートをお送りします。


今回参加したのは、日本マイクロソフト品川オフィスで開催された「実例からみるHoloLensアプリ開発とWindows Mixed Reality」というイベントです。

会場に着くと14:00からVR体験会があったので色々試してみました。

体験会場はこんな感じ。

これは、蜂の目で見た世界を体験できるシステム。
へぇー、蜂って、こんな風に見えるんだー。という体験ができました。

お次はこれ。ヘッドマウントディスプレイを付けると・・・何かちっさいおっさんが現実世界に現れて、ミサイルみたいなものを打って撃破するというゲーム?地味に面白かった。

宇宙船?に乗ってモンスターを倒すゲーム?
これはやってないけど、おじさん達は楽しそうにやっていた。
他にももう少しVRを使ったコンテンツがありましたが、この体験会場は割とエンタメ系が多かった気がします。
MRが拓く未来とは
今回は日本マイクロソフト株式会社のテクニカル エバンジェリスト高橋 忍氏の講演がメインでした。
この講演会では、現実世界とデジタルな世界を融合を実現するための手段や、各種事例を通じて「Windows Mixed Reality」がもたらす新しい体験が紹介されました。
その前に先程から、VRとかMRとかARとか言ってるけどなんなの?って思う方がいるかもしれないので・・・まずは、Microsoft社が考えるVR(Virtual Reality : バーチャルリアリティ)、AR(Augmented Reality : 拡張現実)、MR(Mixed Reality : 複合現実)の違いから。
Microsoft社はARもVRも同じテクノロジーで、物理現実(現実空間)とデジタル現実(仮想現実)の情報量の%の違いで分けているそうです(具体的に何%が閾値か、という話はありませんでしたが・・・)。
一応、高橋氏の言葉を借りて書くと、
・目の前にあるものが物理現実がたくさんあり、そこにコンピューターによるデジタル情報を少しだけいれたものがAR
・目の前にあるものがデジタル現実のみにしたものがVR
・そのどちらもすべてをカバーしたものがMR
(ARからVRは一つのスペクトラムで繋がれている)
だそうです。なんとなくイメージ湧きますかね?下記にも分かりやすくまとめられています。
参考:VRとARとMRの違いと可能性 | VRの基礎知識 [PANOPLAZA]
これらは、現実世界に情報を付加することで、色んなところで応用例が考えられます。
・医療
・建築
・教育
・製造業 etc.
現在過渡期で、Microsoftでも様々な企業と取り組みながらMRの可能性を模索しているそうです。
現在の日本の事例
新潟の小柳建設という企業が、MRを導入しているそうです。
参考:建設業のデジタル化にHoloLens―、小柳建設と日本マイクロソフトが連携を発表 | TechCrunch Japan
一般的に、建設業というのは閉鎖的な世界らしく、なかなか昔ながらの古いやり方から逸脱できないそうです。
しかし小柳建設ではこのシステムを導入することで、進捗情報や、実際に作る建造物の1/1サイズのデジタル情報を眼前に表示できるそうで、業務の効率化に寄与できているそうです。

具体的な例として、橋の柱の中に入り構造的に問題ないかを確認できたり、重機がちゃんと作業エリアに入るかをドラッグ&ドロップで確認できたりします。
このように、MRは今まで図面の世界でプロしか分からなかったことを、素人の方にでも分かるように可視化できるため、様々な現場で作業支援のツールとして活用できます。
なおMicrosoftは「Windows Mixed Reality」という規格を策定しており、この規格に対応したヘッドマウントディスプレイがエイサー、HP、デル、富士通、レノボの5社からも発売されています。

そして、これらのヘッドセットのデザインはそれぞれ異なるが、基本スペックは同一で、コントローラーはまったく同じものが使われているそうです。
MRは私たちの世界をどのように変えて行くか
こういった技術が出てくるとコミュニケーションの形は変わっていきます。例えば製造現場では、作る物を図面という2D(平面)に落とし込んで確認するのではなく、3Dで確認して行く世界になります。
飛び交う情報は基本的には3次元の世界です。今までは記録を残す手段、情報を提供する手段が2次元しかありませんでした。
つまり写真、やスクリーンを使った動画(2.5次元)でしかなかったが、これはからは、空間を使って3次元でのコミュニケーションが可能になります。もう一つのメリットとして、場所を超えて同じコミュニケーションを同じ空間を使って再現することができるようになります。
例えば次のようなケースです。

遠隔地の人にミーティングやっているから、ちょっとアバターで入って欲しいといった場合、遠隔地の人は、VRのヘッドマウントを付けるとそれぞれの人たちがアバターとして同じ空間に存在できます。
そしてその空間の中に様々な情報を付与して、販売したり、製品化したりします。
技術的にはまだまだ足りていません。視野角、バッテリー・・・などなど。ただ、業界ではグラス(メガネ型)になってそこに情報が表示できればそれに越したことがないため、今後はスマホなどのデバイスではなくVRの世界が普及していくと言われています。
そのためにも、今後色んな技術(表現手法、通信手法)をクリアしていかなくてはなりません。
まさにVRやMRの技術は過渡期で、新しい世界の一番最初のステップにいると言っても過言ではありません。

VR/MRの世界になるとマウスもキーボートも不要です。音声によるインターフェイス(入力/出力)が自然にできなくてはならないんです。だからMicrosoftだけでなく、AmazonやGoogleも音声デバイスを出しています。これは、この世界に行くために必要な研究開発です。そうです、今音声の研究をやっていないと遅いんです。
Microsoftは新しい世界を作っていく
MicrosoftはPCという基盤を作ってきました。しかし、当時からPCがあってマウスがあって・・・という世界が続くとは思っていなかったそうです。
Windows8が出て当初、モバイルデバイス/タブレットPCが普及してきて、マウスは不要、タッチやペンが必要だよね、といったUIの設計が大幅に変更されました。
しかし、OEMメーカー各社からは今までの同じ形のノートPCが出てきたそうです。これじゃダメだ!!ということでMicrosoftが出したのがsurfaceです。

即座にOEM各社はそれに追従するように同様のスペックのPCを出しました。surfaceは新しいカタチを作ることが目的なので、別にPCの売り上げが一位になる必要はなかったんです。Microsoftとしてはこれで良いんですね、OSを提供しているのでそれでも売りが立つ。
次の世代のコンピューティングが何か、という事を考えそれに向けて研究開発費を投資して、色んなテクノロジーを考えて出してきています。
そして出来たのが、今回の「Microsoft HoloLens」です。
Microsoft HoloLensとは

完全なワイヤレスを実現したコンピューターです。ノートPCを上回るコンピューティング能力を装備しており、接続ケーブルやマーカー、外部カメラを用意する必要も、スマホもPCと接続する必要もないため自由に動き回れます。
このデバイスには次のような特徴があります。
・高度なセンサー
ユーザーの動きや周囲の環境を感知する複数の高度なセンサーが搭載されている。
情報を出すだけではなく、空間の中に物を置くこともできる。両サイドのセンサーが周りの空間を認識している。
・透明なレンズ
ホログラフィックレンズに高度な光学投影システムを搭載。現実世界とホログラムの融合を可能にする。
・ホログラフィック処理装置
HPUにはカスタムチップを採用。書くセンサーから送られる大量のデータを高速処理
・空間音響
ホログラムの音の合成と再生に対応。現実世界と一体化した 臨場感溢れるホログラム体験が実現される。
HoloLensを使うと、周りの空間を認識したり、手の動きを認識したり、音声入力も可能なためハンズフリーで活動できるそうです。
HoloLensの活用事例
大分長くなってしまったので、最後はざっとHoloLensの活用事例を紹介
参考:話題のMRデバイス「ホロレンズ」、エレベータ業界を変える | readwrite.jp
・Trimble 建築会社
参考:Trimble Mixed Reality
・VOLVO
参考:Microsoft HoloLens: Partner Spotlight with Volvo Cars – YouTube
ということで、今回はVR/MRの情報をお届けしましたが、これらの技術は現在過渡期なので、これからどんどん発展して行くと思われます。

またVRに関するテーマパークも都内にちょくちょく出来てきているので、まだ体験した事がない方は、一度試してみると良いかもしれません。
Roots Lab.では定期的にイベントを開催しています。興味のあるテーマがあればぜひご参加ください!