アート

レポート「ランチタイム鑑賞ワークショップ(主催:グロービス美術部)」

Roots Lab.編集部のさとみ(@satomi_rl)です。

2018年5月11日(金)グロービスの東京オフィスにて、グロービス美術部よりお声掛けいただき、社内有志の方に向けた「ランチタイム鑑賞ワークショップ(主催:グロービス美術部)」を実施させていただきました。

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なぜビジュアルインテリジェンスなのか?

昨今、SNSをはじめ、コミュニケーションアプリ、広告、TV、その他各種WEBメディアなど、いたるところでビジュアルコミュニケーションが溢れています。私たちは様々なイメージを無意識に知覚し、各々解釈していますが、皆さんはその解釈に「他の人とどれほどの違いがあるのか」考えたことはありますか?

ものの見方を楽しむ「対話型鑑賞」が、企業研修にも導入されるなど、美術領域に対する関心も年々深まっていますが、初回の今回は美術鑑賞に限らず、さらにテーマを広げた「ビジュアルインテリジェンス(視覚的な知性を高めるワークショップ)」と題した鑑賞会を実施しました。

今回取り組んだのは、以下の3点です。

  1. 視覚認知の実験
  2. 対話型鑑賞
  3. 映像編集効果について

それでは、レポートをご覧ください。

わかる前には戻れない

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この不鮮明な絵の中に、何が隠されているかわかりますか?挙手制で書き出してみると、このくらいの回答が得られました。

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私たちは様々な情報を探索し、知覚し、各自のプロセスで認識しているため、全ての見え方が正解だと言えます。

ただ実際にこの画像に隠れているのは「牛」です。

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「牛です」とお伝えしたところ、「えー!!!!!」という最高のリアクションが返ってきました(笑)

この実験の面白いところは、気づくと「わかる前には戻れない」という点です。

一度「牛」だと認識してしまうと、認識する前の「ただありのままの画像」として捉えることがなかなかできません。私たちの視覚認知のシステムにはこのような性質があることを知る一例としてご紹介させていただきました。

よく見て、シェアして、さらに観察を深める

続いては、対話型鑑賞です。昨今、企業研修などでも取り入れており、その様子は各種メディアでも紹介されています。(参照:Aera dot.「大手企業研修に「美術鑑賞」 製造業の現場でも導入される理由」

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作品から見えるものを語り、他の人の意見を参考にしながらさらに観察を深めるといった「双方向のコミュニケーション」が、ものの見方を柔軟にし、アイデア発想やコミュニケーション活性化を促します。

美術の世界には、作品を通して問題提起したり、驚かせるなどして、鑑賞者の価値観に揺さぶりをかけ、刺激を与えてくれるものが数多く存在します。

そのため美術鑑賞の時間では、「なぜ自分はそう見たのか?」と自分の視点を振り返ったり、自身の思い込みにハッと気づかされる瞬間が幾度も起こります。

美術館でもこの対話型鑑賞が実施され、独自に発展し広がりを見せているようですので、いろんな場を体験してみたり、複数人で鑑賞に行ってみるのも面白いかもしれません。

映像編集で見え方が変化する

最後は、映像編集効果の一つ「クレショフ効果」を体験していただきました。配布したのは、ある映像の1シーン2カットを。

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・1カット目:男性が何かを見つめている写真
・2カット目:様々な写真(実は各テーブルごとに違ったものを準備)

をお配りし、「1カット目の男性が何を考えているのか、どんな感情なのか」について想像していただきました。

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クレショフ効果とは・・・

「クレショフ効果」とは、ひとつの映像が、映画的にモンタージュされることによって、その前後に位置するほかの映像の意味に対して及ぼす、性質のことをいう。
(引用:クレショフ効果 – Wikipedia

1つのカットが前後の映像にもたらす影響は大きいものです。全く同じ男性の写真でも、2カット目の映像によって、想定される人格や感情が変化してきます。

日常生活において、この2カット目は「自分の内にある過去の情報」や「希望的観測」等に置き換えられるかもしれません。私たちは、外部内部からくる様々な情報に影響されており、事実をいろんな形で読み取り、各自認識していることがわかるのではないでしょうか。

最後に

最後に行った「振り返り」より、参加者の皆さんの気づきをいくつかご紹介したいと思います。

鑑賞を通して、どんな気づきがあったか

・フラットに鑑賞しているつもりでも、自分の持っている知識や周りのコンテンツに引きずられていることに気づき驚いた。
・美術館が好きでよく行くが、一人で鑑賞して終わることが多かったので、このような対話をするのはとても面白いと思った。
・自身の心情を投影している部分もあると感じた。
・1つの絵には解釈が一つだと思っていたが、対話することでいろんな解釈ができることがわかり、イメージが変わった。
・一見興味がわかないような作品の面白みを見つける鑑賞も楽しいかもしれない。
・作品から自由に想像してストーリーまで考えてもいいんだと気付いた。

日常生活や職務のどんな場面で、この学びを活かせるか

・「人の表情を読み取って感情を予想する」というのは実はすごく難しいことなのではと気付いた。きちんと言語化して伝えないといけない。
・知らない人同士だと話す内容が見つかりにくいため、こういうテーマがあるとコミュニケーションを取りやすいと思った。
・多様性の受容をベースとした仕事の進め方につなげられると思った。
・なぜそう思うのか?を相手に尋ねる時は、自分を真っ白にしてみると違う何かが見えてくるのではと思った。

グロービス社内では、日頃から活発にディスカッションが行われたり、自分の考えをアウトプットする機会が多いそうです。とても活気があり、まるで小学校の頃の和気あいあいとした授業風景を思い出すような「学ぶ楽しさ」を交換し合えるワークショップでした。

社内全体で「積極的に対話していこう」という風土ができているのは素晴らしいですね!初回の今回は、ビジュアル・インテリジェンスの一部ご紹介となりましたが、引き続き機会を設けて、たくさんの方にご参加いただきながら、学びと交流を深めていけたら嬉しく思います。

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