この記事では、AI(人工知能)の概要と私たちの生活にどのように影響しているかについて紹介しています。
Roots Lab.編集部のSky Hand(@theskyhand)です。
AIという言葉が使われるようになって早数年。技術の話となると、大抵「それはAIでできるんじゃない?」みたいな会話になります(職業柄、エンジニアと非エンジニアの会話を聞くことが多いからかもしれませんが)
あと、普通のIT技術とAIを混同している方も結構居ます。
かくいう僕もたまに一緒に話してしまう事もあります。。。ということで今さらながら、でも今さら聞けないAI(人工知能)の基本中の基本をまとめてみました。
目次
Alって何やねん?
Al(人工知能)とは、人間がもつ認識や推論などの能力をコンピューターでもできるようにする技術の総称です。
え?そうなの?微妙に違うんじゃない?と、異を唱える方もいるかもしれません・・・が、実は専門家の中でも未だに統一された定義はないのです。
では、例えばどういうものを言うかというと、私たち人間は動物を見た時に「犬か、猫か」を瞬時に判断します。 そのメカニズムは、 目や耳から得た情報を経験·知識と照らし合わせて 「動物なのか」 「種類は何なのか」を推測することで実現しています。
Alの基本的な概念も同じで、人間の脳が行っている「推測」 をコンピューターで模倣します。
推測する際に重要なのが「学習」 です。いかにAIと言えども、経験や知識がなければ推測できず、最適な回答を出すことができません。 判断するために必要な手法が 「ルールベース」と「機械学習 (Machine Learning)」です。
Alは最近の流行ではない
ここ数年で、一気にAIという言葉を聞くようになりましたが、実はその始まりは約60年前です。
1956年、 米国ニューハンプシャー州のダートマス大学で行われた会議で、当時ダートマス大学に在籍していたジョン・マッカーシーによって、「Artificial Intelligence (人工知能)」 という言葉が使われました。それ以来、本格的な研究が進められるようになったものの、当時は知能の処理能力に限界があり、10年程度で収束しました。
その後、専門家の知識をコンピューターにルールとして取り込ませ、専門家と同じような判断や行動を可能とした人工知能が開発されました。
さらに近年では、高速処理が可能な GPU (Graphics Processing Unit)の急速な普及や通信技術の発達で、 大量のデータ (ビッグデータ)を収集·処理できるようになったことなどから、 Alが急激に広がっています。
ルールにのっとるか、機械自身で判断するか
今までのソフトウエアの多くは、 ルールベースによってつくられていました。
当該プログラム(AI)が、人の手によって記述されたルールに従って動くもののことを指します。例えば、人が猫🐈を識別するルールを考えようとすると、次のように条件を考えることができます。
・足が4本ある
・ひげがある
・人よりも小さい
・頭の上に耳がある
・尻尾がある
このように、人が定義したルールに従って判断を行うAIを、ルールベースと呼びます。
業務における一例としては、スパムメールを判定するソフトウエアは「もし○○という言葉が入っていたらスパムの可能性が高く、△△という言葉が入っていたらスパムではない可能性が高い」 というルールを、 人が一から設定していました。
一方、機械学習ではそのようなルールは決めず、メール本文とそのメールがスパムかどうかという正解が対になったデータを大量に読み込ませ、機械自身に学習させます。
ルールベースだと、あらかじめ決めたルールから外れるものには対処できませんが、機械学習ではルールに縛られないため、過去の傾向から正解を予測することができるようになります。
ディープラーニングは機械学習の1つ
機械学習を実現する具体的な手法は、決められた基準にのっとり段階的にデータを分割する「決定木」 をはじめ、さまざまなアルゴリズムが開発されてきました。
その中の1つに、人間の脳が電気信号を発して情報をやりとりする神経細胞(ニューロン)の仕組みから着想を得た「ニューラルネット」があります。
このニューラルネットには層とニューロンを追加することで、膨大なデータを処理し、システム自体がトレーニングを行えるようになりました。この結果、私たちが「深層学習(ディープラーニング)」として知るようになり、社会に大きな影響を与えるようになりました。
機械学習では、大量のデータから規則性や関連性を見つけ出し、判断や予測を行いますが、 そのためには「色と形に注意」のように着目する特徴をあらかじめ設定する必要がありました。 しかし、ディープラーニングでは、 特徴の設定や組み合わせまで機械が自ら考えて決定できるまでに進化しています。
AIはどんなことが得意?
分類
SNSの利用状況などの情報を使い、ユーザーの分類を行うことができます。また、コンビニのポイントカードの利用から、似たような商品を購入するユーザーを選別することも可能です。分類のアルゴリズムを用いることで、大量のデータを効率的にカテゴリ分けすることができます。
例えば、メールのスパムフィルタリングや画像認識などに利用されています。
予測
過去のデータを大量にインプットすることで未来を予測することや、その複数の可能性を高速に計算することなどが可能です。AIは統計的なモデルや機械学習アルゴリズムを利用して、将来の傾向や予測結果を提供します。例えば、天候予報や株価予測、交通予測などに利用されています。
また、災害予測においても、過去の災害データからパターンを分析し、次の災害の発生を予測することで、予防や対策の準備を行うことが可能です。
推薦
分類を用いて推薦をすることも、人工知能の得意分野です。例えば、オンラインショッピングプラットフォームでは、ユーザーの購買履歴や嗜好に基づいて、関連性の高い商品を推薦します。
また、音楽や映画の推薦サービスもあります。推薦システムは、ユーザーの行動データや他の類似ユーザーの行動パターンを分析し、個別に最適な推薦を行います。
最適化
AIは大規模な演算を高速に行うことが得意です。最適化は、与えられた目標を達成するために最適な解を見つけることを指します。
AIは膨大なデータや制約条件を考慮しながら、試行錯誤や数学的手法を用いて最適解を求めます。最適化は、交通システムの最適な経路計画や物流の最適化、スケジュールの最適化など、多くの分野で応用されています。AIの力を借りることで、複雑な問題に対して効率的かつ正確な解を見つけることができます。
このように、AIは、分類、予測、推薦、最適化などの様々なタスクにおいて得意な能力を持っています。
私たちの生活はこう変わっている
快適な自動運転に
日産が自動運転機能を持つ「セレナ」を発売して早4年。「自動運転」の開発はいまや、自動車業界にとどまらず、Googleやソフトバンクなど異なる業界も巻き込んで進められています。
「自動運転」」というと「人が操作しなくても安全に車が自走する」ことをイメージされる人もいるかもしれませんが、一気にそこまで到達するわけではありません。

現在、自動運転システムは、高速道路の同一車線走行に対応しています。車に搭載されたカメラが捉えた情報を画像処理し、アクセルとブレーキを制御して車間距離を保ったり、カーブでも車線の中央を走る手助けをしたりしています。
さらに、 AIを使った技術開発も進められており、 自動運転時の違和感を軽減するため、普段のドライバーのハンドルの切り具合やブレーキの踏み方などをAIが学習して自動運転に反映することや、 交差点を含む一般道走行への対応をめざしています。
今ではロボットも働いている
数年前話題になった、長崎県佐世保市にあるハウステンボスの「変なホテルハウステンボス」。

2015年に話題を呼びましたが、このホテルではフロントやクロークなどの接客を主にロボットが行っており、人が行う仕事はわずか2割だそうです。高い生産性·省人化をエンターテインメント性をもって実現しています。
・変なバー
案内・決済· 飲み物の提供までを無人で行っている
・コミュニケーションロボット
天気の話をしたり歌を歌ったりして宿泊客をもてなす
・スマート·コンビニ
顔認証技術を応用した無人コンビニエンスストア
2020年現在、舞浜にも「変なホテル」がありますが、ここにもAIが導入されています。このホテルではAIが客の声を認識し、客が音声で室内のライトを点灯させることができます。
記者の代わりに記事を書く
記者の正体はAI !?「決算サマリー」記者の代わりにAIが記事原稿を書く。ご存知の方も多いとは思いますが・・・そう、この技術はすでに活用されています。早々に導入したのは日本経済新聞社でしょう。2017年の1月から、AI記者「決算サマリー」の利用を開始しています。
企業が開示した決算発表資料から業績データや要点を抽出し、わずか10秒足らずで原稿を整え、3分後には日経電子版などに掲載しています。
めちゃくちゃ早いですよね・・・これぞまさに最速。売上高や利益が前年同期から変化した理由まで分析して記事に盛り込めるそうです。
なお、このシステムは東京大学や言語理解研究所の協力を得て構築しており、決算期には1日で1,000件以上の記事をAIが執筆しているそうです。
生産性もめちゃくちゃ高い。。
今やスマホアプリにもAIは使われている
植物の写真を認識し、名称や特徴などを詳しく解説してくれる図鑑アプリ「PictureThis」や生き物の名前がすぐわかる「LINNÉ LENS(リンネレンズ)」など、今や世の中にはAIが実装されたアプリはたくさんあります。
下記のサイトでも様々なアプリを紹介してくれています。
AIの概要を知るためのオススメ本
人工知能は人間を超えられるか
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人工知能の第1人者である松尾豊教授の著書です。人工知能は今後どうなるのかという未来予想や、初歩的な機械学習モデルについてわかりやすく解説されています。特別、統計学など関する知識も不要なので、文系理系にかかわらず、すっと読めると思います。
AIによって仕事を奪われる、と言われて久しいですが、物事を分解して考えることによって、不安は小さく希望を大きくして生きていけます。
まとめ
AIは、様々な産業に大きな影響を与えています。
近い将来、これまでになかった市場が生まれることが予測され、製品やサービスのデジタル化がますます加速していきます。
現在専門家の中でもAIが次のような世界が実現されると予想されています。
・仕事
– ChatBotを利用した24時間自動応答サービス
– 大量生産と受注生産の両立
– 事務作業の完全自動化
・家庭
コミュニケーションが取れる家事代行ロボ
・農業
気象情報を予測し、天候に合わせて作物を育てる
・教育現場
生徒の理解度に応じた教材の提供。
・医療現場
お風呂やトイレを使うたびに自動的に健康をチェック。
・物流
自動運転車両や無人貨物船を利用した自動物流
さて、皆さんはこの話を聞いてどのような未来を想像するでしょうか?

Roots Lab.では定期的にイベントを開催しています。興味のあるテーマがあればぜひご参加ください!