この記事では、NVCを使ったコミュニケーション法について紹介しています。
・人間関係に悩んでいる人
・自分自身をそのまま受け入れたい人
・オンオフ共に良好な人間関係を築きたい人
突然ですが、皆さんに質問です。
皆さんは、今までの人生で人間関係や自分自身の事が分からなくて悩んだ経験があるでしょうか?
恐らく多くの方が「悩んだ経験がある」と答えるのでは無いでしょうか?。

そうです、私たち人間の悩みの大半は人間関係にまつわる事と言われています。しかし、人間関係と言うのは、私たちの幸せに必要不可欠なものでもあります。
今回はその悩みを解決するための手段としてNVC(Nonviolent Communication=非暴力コミュニケーション)をお伝えしたいと思います。
そもそもNVCとは何か?
『NVC』というのはNonviolent Communicationの略称で、ユダヤ系アメリカ人のマーシャル・ローゼンバーグという臨床心理学者が提唱したコミュニケーション手法です。
日本語では「非暴力コミュニケーション」や「共感コミュニケーション」と呼ばれています。
この手法は、対話やコミュニケーションにおいて相手との関係を深め、共感や理解を促進することを目的としています。
NVCは、人々が自己表現し、他者との関係を構築する際に、共感、誠実さ、思いやり、対話の力を重視します。NVCの基本的な原則は、「感情」と「需要」に焦点を当てることです。
また、NVCは対立や争いを解決するためのツールとしても広く使われています。人々が相手を攻撃するのではなく、相手の感情や需要に対して敏感になり、共感を示すことで、対話の効果を高めます。

現在では世界中で学ばれており、企業研修などでも取り入れられています。また、NVCに関する書籍もあり、マイクロソフトの社員の必読書にもなっているそうです。NVCの目標は、個人やグループ間のつながりを強化し、共同の解決策を見つけることです。
さらに近年、書籍「ティール組織」という本が非常に話題になりましたが、その中でも導入事例が出てくるほど有名なツールでもあります。
企業研修やマイクロソフトの社員の必読書と聞くと、非常に堅そうなイメージをお持ちになるかもしれませんが、簡単に言うと人を思いやるコミュニケーション方法です。
「人を思いやる」というのはとても基本的な事ですが、意外とできなくて後悔したことがあるのではないでしょうか?
そもそも私たち人間は、本来お互いを思いやる事ができる生き物です。そして、友人や恋人、家族、ビジネス・・・あらゆるシーンで「思いやり」が必要です。

しかし、時に私たちは思いやりとはかけ離れた事を言って人を傷つけたり、自分自身を苦しめたりすることがあります。
NVCは、このように身体的なものだけではなく、日常にありふれた暴力をなくすためにも必要なコミュニケーションツールなのです。
なぜ人間関係で悩むのか
前述のとおり、時に私たちは人間は、意図せず人を傷つけたり苦しめたりする事があります。
その一方で、自分自身が過酷で辛い状況にありながらも人を思いやったり、自分自身を否定せずに生きる人も居ます。
この違いは何でしょうか?その人がたまたまスゴイ人で、自分がヘボい人間だから?
いいえ、違います。
NVCでは、このように人や自分に対して暴力的にはたらく一因となるコミュニケーション方法を「心の底からの訴えを遠ざけてしまうコミュニケーション」と呼んでいます。
特に多いのが、「道徳をふりかざして裁く」ことです。
どういうことかと言うと「あの人はすごくて、自分はヘボい」の例でも分かるように批判、比較、分析はすべて形を変えた裁きであり、暴力的な行為そのものだというのがNVCの考えです。
・道徳を持ち出す
・常識/一般的という思考
・責任を回避する
・願望の強要
・「~に値する」という考えetc
このように、私たちは様々な種類の「心の底からの訴えを遠ざけてしまうコミュニケーション」を身につけ、話したり行動したりするようになっています。
その結果、自分自身も自分以外の人も傷つけていて、これが人間関係の悩みに繋がっているのではないでしょうか?
人間関係の悩みを無くすためのNVC
NVCは、どんなに自分が辛い状況に置かれていても、なお人間らしくあり続けるためのサポートをしてくれるコミュニケーションです。
そしてNVCには4つの要素からデザインされています。それらに意識を集中させる事でお互いを思いやる関係性が容易になるといいます。

観察
相手に何か伝える場合、まずは状況をよく観察します。この時に『評価』を混じえてはいけません。 例えば自分の部下に対して、
「最近まったく報告無いよね」
と伝えるとします。これは状況の「観察」と「評価」を混同しています。
「最近」や「まったく」には主観的が含まれていますね。「観察」と「評価」を混同してしまうと、批判として受け取られ、反発される可能性が高まります。反対に、その後の対話が難しくなる可能性は高まってしまいます。
観察と評価を区別するなら、
「月に4回は報告するって言ってたけど、今月は1回も無かったよ」
となります。そんなの察してよ、と思うかもしれませんが、言葉足らずなコミュニケーションは争いの種になり易いのです。
感情
観察しているものに抱いている感情をキャッチします。
私たちは、「思い/考え」と「感情」を区別できていない事が多々あります。
自分が「こういう風に感じている」というのが実は「自分の考え」だったりします。これがトラブルの元になることも少なくありません。
例えば、「無駄に感じる」「失望させられた」「良くないと思う」
これらは、感情ではありません。
感情はこうなります。
「イライラしている」「がっかりした」「不安だ」
自分や自分以外の人間の反応や行動に対して、「自分がどう感じているのか」と「自分がどう思っているのか」を区別します。
残念ながら、私たちは感情を重視して育ってきていません。「正しい考え」に価値が置かれてきました。
しかし、感情を表現することで、もっと容易に人間同士の対話が生まれます。対立を解決し良好な関係性を築く可能性が高まります。
必要としてること
「感情」とセットなのが、この「必要としていること」です。
「感情」は自分が必要としていることが満たされているのか、満たされていないのかを教えてくれる発信機みたいなものです。したがって、NVCにおいてはポジティブな感情もネガティブな感情もありません。
どんな感情でもオールOKです。コントロールする必要も、悟る必要もありません。誰もができます。
NVCでは自分の感情の責任を相手に押し付けるのではなく、自分が自分の感情の責任を取ります。その上で感情と自分の必要としていることを相手に伝えることで、相手はより思いやりをもった反応をしやすくなります。
要求
「観察」「感情」「必要な事こと」を踏まえて、自分の人生を豊かにするために人にお願いをします。
この要求は抽象的ではなく具体的に表現する必要があります。
自分の要求を分かり易い形で相手に伝えることで、 相手が行動しやすくなり、その結果自分の満足に近づくのです。
ここで大切なポイントは、従わせたり、コントロールしたりする意図じゃないということです。
NVCで具体的に実現すること
良好な人間関係を築くためにはコミュニケーションが必要なので、言いっぱなしでもダメですし、聞きっぱなしでもダメです。
前述の4つの要素を用いながら、2つのことを実現します。
1. 率直に表現すること
2. 共感的に聴くこと
率直に表現すること
大切な事は、心の矢印を外(人の言動や状況)に向けるのではなく、自分の内側に向けていくという事です。

そして必ず主語を「私」にします。をします。
どんな感情も大切な意味があります。ですので、どんな自分であっても決してジャッジせず、相手のせいにもせず、自分を蔑まず4つのステップ(「観察」「感情」「必要としていること」「要求」)で率直に表現してみてください。
共感的に聴くこと
私たちの大半は共感的に聴くことができていません。
相手が話しているときに、自分の話を始めたり、良い方向に促そうとしながら聞いたりしています。
NVCではこのような聴き方を「思いやる力を奪う聴き方」と言います。
・「そうだよね、分かるよ!」と同調する
・「その考えはあんまり良くないかも」と評価する
・「私の時はこうだったよ」とアドバイスする
話を聴くときは、主語を「あなた」にしてください。そして、例えどんな言動であっても、相手が
①観察していること
②感じていること
③必要としていること
④要求していること
を聴き取ってみてください。
まとめ
私たちの実生活において、
「なんでわかってくれないの?」
「どうしたら、この気持ち伝わるんだろう?」
「なんかモヤモヤする。。。」
「なんてバカなことしちゃったんだろう。。。」
「誰もわかってくれない…」
「世界はなかなか変わらない…」
と思う事が多々あると思います。しかし、NVCを学べば、人間が本来の持っている力自分や人を思いやり、与えたり与えられたりすることを楽しむ人生になっていきます。
今回はNVCのエッセンスを少しだけシェアしてみました。もし興味がある方は、まずは本を1冊買って読んでみてください。
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